数ある衛生害虫駆除の中でも、ダニの駆除は最も難しい仕事と言えます。
ダニに刺されたらしい、と言う不確定な情報だけで殺虫剤の処理をすると、かえって生息条 件を好転させたり、もともといないものを相手にしたりする恐れがあるからです。その被害は 本当にダニなのか、ダニならばどのグループのダニなのかを正確に把握する事が重要です。
事前調査
事前調査はダニを駆除するに 当たって最も重要なので、慎重 に時間をかけて行います。
下のチェック表を参考にデー ターを集め、ダニの種類を特定 します。
また被害現場でダニ分離法に よる検査をしたり、ダニ検知シ ―トなどを利用して直接捕獲す る方法もできる限り採用し、調 査の正確さを高めます。
- どのような被害があるか
- 被害はいつどこで起きるか
- 被害者はどのような環境におかれているか
- 室内構造(畳・ジュウタン・その他)
- 室内温度(日当り・壁床にカビがないか)
- 家具配置(雑然・掃除がしにくくないか)
- 人やペットが常在しているか
- 家具・衣類が放置されていないか
- ネズミが生息していないか
- 鳥が軒先などに営巣していないか
- 床面の清掃度はよいか
発生源対策
吸血性のダニの場合は、原因となっているネズミや鳥の巣を発見して除去します。
室内塵性のダニの場合は、高温・多湿・清掃不十分などが原因なのでこれらの改善を行う様に指導します。
特にダニは湿気を好みますので、部屋の換気や床下の湿気防止も大切な要因です。
寝具(布団・毛布など)は畳やカーペットと同じように、吸引力の強い電気掃除機で掃除をするのが良いでしょう、1㎡当たり、3分~4分かけてゆっくりと清掃することです。
ダニの駆除
吸血性のダニの場合は小動物の巣の周辺にフェニトロチオン(医薬品・医薬部外品)等の乳剤を残留処理します。
天井裏や壁の内部など手の届かない所は、ミスト処理(エアゾール剤)等で対処します。
室内塵性のダニの場合は物理的な対策として、発生源となっているもの(畳・カーペット・寝具)を持ち出して熱乾燥処理をする方法もあります。
また薬剤を発生源の畳・カーペットの裏側などに噴霧するか、畳の場合は内部へ注入する方法があります。
一概にダ二といっても色々な種類がいてその被害及び出没する所も千差万別です。人間が生活する家庭・会社・屋外、また食品・植物・動物にも生息が見られます。近年人間に問題になる代表的なものを紹介しましょう。
吸血するダニ
イエダニ・マダニ・ワクモ・トリサシダ二
イエダニはネズミに寄生するダ二で、天井裏にネズミの巣があると下で生活をしている人が被害にあったりします。人に移って吸血しますが直後は気付かず、時間が経つと強い痒みが1週間から10日間位続きます。 ※マダニは屋外の草むら等に生息しています。ワクモ・トリサシダニは鳥類に寄生しています。 ニワトリ等にも寄生、またスズメ・ムクドリなどの野生種にはほとんど鳥に寄生しています。
皮膚炎や喘息の原因になるダ二
チリダニ類・ツメダニ類・チリダニ類
室内のゴミや塵・乾燥の悪い布団などで人のフケや垢を食べて生活しています。 ダニの糞が室内で埃や塵と共に風などで舞い上がり呼吸で体内に取り込まれ、喘息やアレルギーを起こすので問題になっています。 ツメダニ類は他のダニを食べる肉食性のダニで室内が不潔で他のダニが多くなると発生します。 吸血はしませんが人を刺し皮膚炎の原因になっています。