ネズミの防除は大昔から行われており、弥生時代の校倉造りの穀物倉庫は、土台となる足にネズミ返しという構造部分がありました。すなわちネズミが倉庫内に侵入しないようにするための工夫です。何百年を経た現代でもネズミの被害を防止する基本的な対策は変わりません。
相談件数の多い虫達でご紹介しているイエネズミ3種は時として人間と生活を共にすることがあります。人の出すゴミや残飯・あるいは人間の食糧品でさえも餌にし、家やビルの一部に自分達の巣を作り、冬は建物内のぬくもりまでもわがものとしてしまいます。これは意図せずに人間が養っているのと同じです。ネズミの防除はそうなってしまわないように注意、あるいは工夫することが第一歩となります。建物に侵入されないように隙間や開放をなくすこと、閉めた扉やシャッターの下に1センチ以上の隙間があったり、床下換気口のトラップが破損していたりすれば、ネズミにとっては玄関が開いているようなものです。また、生活圏の衛生をしっかり管理して、生ゴミや残飯の放置・むだしのままの食品保管をしないこと、排水系統の清掃などもしっかりと行うことが肝心です。
どんなに細心の注意を払っても、ネズミの侵入を防ぎきることはできません。
そうした場合は、化学的手法としてネズミ用の毒餌を設置し、それを食べさせて駆除したり、ネズミを捕獲するためのトラップを敷いて捕まえるなどの手段を講じます。毒餌を摂取したものはトラップに引っかかりやすいなど、それぞれの相乗効果も発揮できる
よう工夫します。また電線や素材をかじられないよう特殊なコーティングをしたり、ネズミの大嫌いな臭いや超音波を用いて、彼らが生活しにくいように工夫する場合もあります。
水泳が得意
ドブネズミ
イエネズミの中では最も体が大きく、食欲も旺盛で、被害も多い種です。 成獣の体長は22~26cmで、大きなものは体重500g近くに達するものもあります。 ずんぐりした体のわりに目や耳が小さめで、尻尾は胴体よりもやや短いのが特徴です。 雑食性で、野菜くずや穀物類のような植物質から、肉類・マヨネーズやソースのような調味料・ペットの餌や生きた昆虫などなんでも餌にする美食家です。 また、水泳が得意で潜水能力もあり、水洗トイレの中から泳いで出てきた、などという例も報告されています。
警戒心が強く頭が良いとされ社会問題化
クマネズミ
成獣の体長は15~22cmで、ドブネズミよりはややスリムな体型、しかし目や耳は大きく、いわゆるミッキーマウスのモデルのような姿をしています。 祖先は東南アジアの熱帯雨林で樹上生活をしていたと考えられ、木登りや高所が得意、また、天敵から身を守る能力にすぐれ、警戒心が強く頭が良いとされています。 祖先の血を引いて食べ物は木の実や 穀物・穀粉類など植物性のものを好む傾向がありますが都心に住むものは雑食傾向が強くなっています。 頭が良いので駆除が難しく、都心では手付かず状態となって社会問題化しているところもあります。
OA機器のケーブルをかじることも
ハツカネズミ
小型のネズミで成獣でも体長6~9cm、愛らしい姿なので衛生的に改造された体毛の白いペットが販売されています。 野生種は野原や畑地に住み、農家や納屋・倉庫・港湾地帯の倉庫などに侵入することが多く、特に粉乳製品や保管穀物類がよく被害に遭います。 人家やビルにも侵入してOA機器のケーブルをかじるなど、軽視できない被害をもたらします。