アリの防除
駆除と対策
アリ類の駆除はかなり困難

アリ類の駆除は他の昆虫と比べるとかなり困難である。(イエヒメアリ)の例では、 1軒の家から136万匹の働きアリが捕殺された記録がある。しかしそれでも全滅には いたってない。巣を処理すればよいが巣を見つけることは容易なことではなく見つけた としても逃げられてしまうことが多い。ただ最近では遅効性の殺蟻剤が開発され、一部 のアリに対し良い効果を示している。この薬は遅効性のため働きアリがこのえさを巣に 持ち帰り巣の中の全員に行き渡ったところで効果が現れ、コロニー全員が死滅するもの である。一般家庭でアリに侵入されないためには、建物周辺の通風を良くし、庭木を建 物の近くに植えすぎて暗くなる場所をつくらないこと、屋内では床や台所を常に清潔に 保つことが必要である。アリが行列した通り道には道しるべのフェロモンがしばらく残 っているので食物容器は離れた場所に移すとよい。

屋外からの侵入

アリは種類により巣をつくる場所もちがいます。例えば、地中や石の下、朽木や枯れ枝 の中、樹木の根元などがある。幼虫の成長する時期には働きアリが巣からでて盛んに餌 の探索に向かう。日当たりのよい地中に巣作りする(クロヤマアリ)(クロオオアリ) (トビイロシワアリ)。対照的に湿った所を好み巣を作る(アシナガアリ)。湿った朽 木や地中に巣作りする(トビイロケアリ)枯れ枝や朽ちた材に好んですむ(ヒメアリ) などが知られている。(アシナガアリ)はたまに屋内に単独で侵入する場合があるが、 仲間の働きアリを動員して群れとなる事はない。それに対し(ヒメアリ)は食物を発見 すると仲間を多数動員し甘いもの等に黒だかりすることがある。糖類の他に魚や肉類の 乾物を好む。また、人の体に這い上がり皮膚の柔らかい箇所を刺す。成人では瞬間的な 軽い痛みを感じる程度だが、乳幼児には注意が必要である。(ヒメアリ)の働きアリは 小型で畳に上を歩いていてもわかりずらいので居間などはよく清掃し清潔にすることが 好ましい。日本の一般家庭ではブロックなどで敷地を囲み家屋の周辺にはたくさん樹木 を植栽することが好まれるが、こういった環境では湿気が多くまた、木造家屋が古くな ると被害を受けやすくなる。

家屋内に巣を作るアリ

(ムネアカオオアリ)が家屋の根元などに巣を作った例はある。この種は材の腐朽した 部分を主に利用する。しかし健全な材には穿孔しない。また戦後の建築様式ではこよう な事は確認していない。 北米ではカーペンター・アンツと言われる(オオアリ)の仲 間は家屋や木材に巣を作るため穿孔し加害するものもある。(クルクサアリ)や(クサ アリモドキ)が人の出入りの少ない物置や納屋に住み着いた例はあるが基本的にはこの 種のアリは人の居住区に侵入する事は少ない。 ベランダや屋上などの隅には土ぼこ りや落ち葉がたまりやすく、その中や植木鉢などに(トビイリケアリ)(アメイロアリ )(オオハリアリ)などが巣を作る。この種のアリは屋内に侵入するほか、鉢植えした 植物上のアブラムシやカイガラムシを保護し、またそれらの害虫を移動させることによ り被害を大きくする。また(オオハリアリ)は時に人を刺し激痛を伴う事もある。 また、暖房などの発達にともなって本来は、熱帯性のアリが交易などにより分布を広げ ている。(イエヒメアリ)もその例である。第二次世界大戦中は物資、燃料不足により 被害はおさまったが、経済の復興によりまたふたたび広がっている。現在ではおもに大 都市の集合住宅、デパート、病院、大学医学部、食料品店、動物園、船舶などにみられ、 今後は広がる傾向にあると思われる。